先達の考え

「しかし作家はいずれどこかで、白紙に向うようにして、描写の要請に立ち向うところに来る。むろん誰が要請するわけでもなく、ほかならぬ自分の書きすすめてきた小説が要請するのだ。その時、描写というのはかなりいかがわしい性格を帯びる。つまり、対象をいきいきと思い浮かべようとすることと、それを綿密に描こうとすることとが、相前後してではなく、同時に、相携えて行なわれる。描きながら、描く対象を生み出していく、というところがあるのだ。」
(古井由吉「表現ということ」より)

「描写」にこそ、個々の感性が現れる、ということなのだろう。

小説を読む、とは、同質の感性を探し求める「旅路」ではないか・・・
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