夏の読書

加島祥造という名をご存知だろう。英訳されたもので老子に出会い、それを自身、自由詩というかたちで翻訳した『タオ・老子』がロング・セラーとなっている。1923年生まれ。

「何か新鮮な文章を読みたい」と思いながら自分の読書記録を見ていて、『千年の祈り』を読み返し始めた。2007年に英語から翻訳された短篇集である。読みやすいが訳文が日本語としてどうしても軽い気がして、そういえば『マラマッド短篇集』もあったはずだと、その本を書棚から出してきてみると、その訳者が加島祥造だった。ぼくが持っていたのは1974年に出た五刷だった。高校生のころに読んだものだ。なかに「夏の読書」という一篇があったことを思い出し、あのころはほかにもジョン・アップダイクの短篇集をよく読んでいたな、となつかしくなった。

「文体をたのしむ」という点では、やはりオリジナルが日本語のものにはかなわないが、ときには異なる世界観を味わう、という意味で、良質の翻訳物もいいかもしれない。
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