南村
陶淵明
「移居」其一
昔欲居南村 昔 南村に居らんと欲せしは
非爲卜其宅 其の宅を卜せしが爲に非ず
聞多素心人 素心の人多しと聞き
樂與數晨夕 數しば晨夕せんと樂ひしなり
懷此頗有年 此を懷ひて頗る年有り
今日從茲役 今日 茲の役に從ふ
弊廬何必廣 弊廬 何ぞ必ずしも廣からん
取足蔽牀席 牀席を蔽ふに足るを取る
鄰曲時時來 鄰曲 時時來り
抗言談在昔 抗言 在昔を談ず
奇文共欣賞 奇文 共に欣賞し
疑義相與析 疑義 相與に析つ
昔南村に住みたいと思ったのは、家相を占ったからではない、潔白な心の人が多いと聞き、一緒に暮らしたいと思ったからだ、このことをずっと考えてきたが、いまやっと引っ越しすることができるに至った(晨夕は朝夕顔を合わせること)
家は決して広くはないが、雨露をしのげればそれでよい、隣人が時折来り、声を弾ませて四方山話をする、良い詩ができればともに鑑賞し、わからないことがあれば、一緒になって解釈する(抗言は声をはずませること)
お盆休みの週末の、静かな夜だ。
誰もが南村のような地に身を置いていてほしいもの、と希う。死者も生者も相ともに。
そうすれば、心もやすらいでくることだろう。
よいお休みを。
「移居」其一
昔欲居南村 昔 南村に居らんと欲せしは
非爲卜其宅 其の宅を卜せしが爲に非ず
聞多素心人 素心の人多しと聞き
樂與數晨夕 數しば晨夕せんと樂ひしなり
懷此頗有年 此を懷ひて頗る年有り
今日從茲役 今日 茲の役に從ふ
弊廬何必廣 弊廬 何ぞ必ずしも廣からん
取足蔽牀席 牀席を蔽ふに足るを取る
鄰曲時時來 鄰曲 時時來り
抗言談在昔 抗言 在昔を談ず
奇文共欣賞 奇文 共に欣賞し
疑義相與析 疑義 相與に析つ
昔南村に住みたいと思ったのは、家相を占ったからではない、潔白な心の人が多いと聞き、一緒に暮らしたいと思ったからだ、このことをずっと考えてきたが、いまやっと引っ越しすることができるに至った(晨夕は朝夕顔を合わせること)
家は決して広くはないが、雨露をしのげればそれでよい、隣人が時折来り、声を弾ませて四方山話をする、良い詩ができればともに鑑賞し、わからないことがあれば、一緒になって解釈する(抗言は声をはずませること)
お盆休みの週末の、静かな夜だ。
誰もが南村のような地に身を置いていてほしいもの、と希う。死者も生者も相ともに。
そうすれば、心もやすらいでくることだろう。
よいお休みを。